別れの涙 和歌

ここ数年の歌詞には、『会いたい』というフレーズが多いように感じています。

和歌の世界も恋歌には『会いたい』のニュアンスがとても多いです。平安時代にはSNSも電話もなく交通整備や街灯もままならず、自由にフラフラ出かけられる時代ではないですから余計にそうなのでしょうね。人と会うには私たちが考える以上にハードルが高い事なのだと想像します。

一見すると現代では、逆にいつでも会える。交通機関も電話もあるしいつでも繋がれるけれど、平安時代にはない現代人特有の忙しさや誘惑、疲労など、会いにいけない事情はいつの時代にも中身は違えどあり、だからこそ『会いたい』フレーズは1000年の時を経ても変わらず歌や文字になっているのかもしれないですね。やはり会いたいんですね。人は人に。人だもの。みつをの世界ですね。

話を戻しまして。。。

平安と現代で違う点は、通い婚という事。男性は帰らなくてはいけない。いい大人同士でも。

という事で本日はこの和歌をご紹介します!

古今和歌集 竉

しののめの 別れををしみ 我ぞまづ 鳥よりさきに 鳴きはじめつる

『明け方の後朝(衣衣)の別れが淋しくて、夜明けを告げる鶏より先に、私が泣き出してしまった』

夜明けと共に帰ってしまったお相手に、送った歌です。もっと一緒に居たかったという素直な女性の心が伺えます。

『夜明け=男性は女性宅から出なくてはいけない』 時代ですから

明け方が、男女のお別れの時間帯です。

シンデレラは、12時の鐘が鳴るまで時間を忘れて王子様と踊っていましたが、こちらは、『明け方になればお別れ』という事が頭から離れず、淋しくて、朝告鳥より先に泣き出してしまうのですね。女性のタイプも様々。

後朝の別れとは、細かい解釈の差はありますが、基本的に男女の着物をそれぞれ敷くなり掛けるなりして夜を共に過ごしますね、そして別れ際、それぞれ相手の残り香のついた着物を着てお別れする、ということです。

とても人間らしいですよね。『相手の香りが残る』というのは、今の音楽の歌詞にも出てきますし、小説などにも使われる表現だと思います。

別れの時を告げる鳥より先に泣き出す。

1000年後の今は、どんな詞的表現になるのだろう。

『なぜあなたが時計をちらっと見るたび泣きそうな気分になるの』(赤いスイートピー)に、近いものを私は感じました。

皆さんはどう思いますか?

という事で今日はここまで。

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